論理学FAQのブログ

授業でもらったコメントに対して書いたリプライを、ブログ形式に編集しました。

A・B系列と時制論理

2019年5月20日のコメントペーパーより。レジュメは様相命題論理

コメント:時間 (時制) 論理に興味があります。時間の哲学でA系列・B系列というのと、時間論理はどう関係しますか?

回答:ぜんぜん詳しくないですが、わかる範囲で答えます。

A系列・B系列というのは、マクタガートが提示した、時間系列についての2つの見方ですね。ざっくり言うと、A系列は、時点ないし出来事を、あるときは未来であったものがいつしか現在になり、そして過去になるという推移で捉える見方ですね。B系列というのは、いくつもの時点が並んでいるのをいわば俯瞰して、時点のあいだの「より前」「より後」という関係だけを見る見方ですね。

以前のエントリ: 

takuro-logic.hatenablog.com

で引用したプライアーは、 いまで言う可能世界意味論でモデル化される論理のなかでも、とくに時制論理 (tense logic)に注力した人ですが、彼が言うには、「 p だろう」とか「 p であった」という時制つきの文はA系列に対応し、それらを「より後の時点で  p」とか「より前の時点で  p」などと説明する可能世界意味論はB系列に対応するのだそうです。

 

マクタガートはさいきん邦訳が出ましたね。

bookclub.kodansha.co.jp

プライアーについてはまず

www.sciencedirect.com

あたりを読んでみてはいかがでしょうか。この論文の6節に、A系列・B系列についての彼の考え方がまとめられています。

プライアー自身の著作では、

global.oup.com

や、前出の

global.oup.com

などをどうぞ。